プレバイオティクスとプロバイオティクス

腸内環境改善というコンセプトの普及とともに、巷にはまことしやかな高額商品が出回っているので、騙されないためにもちょっと読んでみてください。

プレバイオティクスとは、腸内微生物の餌となる食物繊維です。食物繊維と一口に言っても、解明されていないものも含めると、少なくても何百種類以上存在し、タイプによって健康効果が違います。プロバイオティクスとは、腸内環境をよくするであろう細菌でできているのですが、市販のもので効果が証明されているものはごくわずかです。というのは、腸内にいる微生物のほとんどは単離培養できないので市販できないからです。

例え話にすると、腸内環境とは、自然にできた高原や荒野のようなものです。もし荒野にホームセンターで買ってきた園芸種の種(単離培養した菌)をまいたらどうなるでしょうか?その環境がとても肥沃で常に肥料(食物繊維)が豊富にあれば、園芸種の種も芽を出し育つかもしれません。ところが、その環境が砂漠のように肥料が乏しければ、種は芽を出すこともなく死んでしまいます。逆に、砂漠にたくさんの肥料をまいて、土を育てると、野生種の植物が自然に芽を出し育ち始めます。つまり、腸内環境の場合、空気や食べ物、発酵食品とともに入ってくる菌(野生種)と食物繊維(肥料)が豊富にあれば、役に立つ微生物が繁殖できるわけですが、食物繊維(肥料)が乏しい環境では、砂糖を好むよろしくない奴らが繁殖したり、食品が直接腸壁と反応してとんでもない症状を起こしたりするのです。

私のオススメは、野菜類、根菜類、きのこ類、ネバネバ食品(オクラ、山芋、納豆、レンコン)、海藻類、種子・ナッツ類、密度の高い果物(アボカド、いちじくなど)を毎日食べることで多様な食物繊維を豊富に取り入れること、発酵食品を食べること、公園やビーチなどの自然な土と水がある環境に出かけることで入ってくる野生種を増やすことです。それでもプロバイオティクスを買いたい方は、症状をお知らせいただければ、力になれるかもしれないです(2017年10月のワンポイント栄養学)。

Kayo Arima